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「錨を上げよ」 ~感想~

図書館で、百田尚樹著作の「錨を上げよ」を借りてきました!


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百田尚樹さんは関西ではおなじみ、「探偵!ナイトスクープ」でメイン構成作家をされている方で、デビュー作の「永遠の0」は大変面白く、また深い余韻があってダイスキな作家です。

最新作かつかなりの超大作である「錨を上げよ」は図書館で申し込んでもなかなか手元に届かないだろうと思っていたので、意外に早く順番が回ってきたときは本当に喜びました!



物語は終戦後ちょうど10年たった昭和30年から、その昭和の終わりごろまでの時代の背景を織り込んだ、主人公、作田又三の30過ぎまでの人生が描かれます。



この主人公、めちゃくちゃ行動力があり、即断即効、頭の回転も速いのに、将来のものぐさ、不器用さがたたってとことん孤独、挫折の連続なのです!!


その挫折の様は多岐におよび、学歴、友情、家族関係、就職、果ては企業、結婚まで、途中何度も大成功を収めることもありますが、最後は必ず失敗します!

特に恋愛にいたっては、何度も新たな恋(又三の一方的なものも含みます)にのた打ち回りますが、必ず大きな挫折を味わうことになるのです!!


こうなると、呼んでいるほうもハイになってきて、何か成功するたびに、

「次はどうやって失敗するのだろう???」

と、楽しみになってきます!!(笑)



この小説は、主人公の作田又三に感情移入できるかどうかが、楽しめるかどうかの鍵になると思いますが、ぼくはこの「超エネルギッシュ」な主人公を大いに楽しむことができました!!


小説はこの又三が「真実の愛」に目覚めたはずの結婚にも失敗したところで唐突に終わるのですが、ぼくはこれだけの体験をしてきた又三が、結局何の教訓も得られなかったこと、が気にかかり、その後の又三を知りたくてたまらなくなりました!


あれだけの濃い人生を送ってきて、まったく成長しないなんてことが、果たしてありえるのでしょうか???
(まあ、それが又三らしいといえば、らしいのですが・・・。)


あと、これは作者の主張とも重なるのではないかと思うのですが、作中、登場人物の一人が主張する、


「現代人の不幸と苦悩の多くは、生きることと、仕事と、愛、がばらばらになってしまったからやって---。」


という呟きには、大いに共鳴するものがありました!



かなり好き嫌いが分かれる小説とは思いますが、エネルギッシュな「昭和史」としてもお勧めしたい小説なのでした!
by yosshu0715 | 2011-07-01 15:11 | 読書感想
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